Perspective

石化・凍結などの所謂『固め系』の話題について、アレコレ呟きながらじわりじわりと更新されるブログです。脱不定期更新を目指してSSにも現在挑戦中。

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ピュグマリオンのジレンマ(3) 悪い風だぜ大砂漠

――そして、砂漠の夜は明けた。
太陽は再び姿を現し、夜間に満ちた冷気を灼熱の日差しで打ち払う。
「一体、二体、三体……」
視界が自然と歪むこの炎天下、ナクリが目の前に立ち並ぶモノをカウントするのは、これで何度目の事になるだろうか。
彼女の長い睫毛には汗が球の様に乗っかっていたが、そんな事に気を払う事無く、彼女はそれらを一体一体、ゆっくりと指差しながら数える。
「……四体」
四体。ナクリの視界には、石像が四体存在した。
何度数えようが結果に変わりは無い。ある筈が無い。
これは文字通りの動かざる事実だ。

石像のバリエーションは多岐に渡る。他ならぬナクリ自身がそうなるようにセッティングした。
譜術師、女騎士、そして某国の姫君――ここまでは良い。全て計画通りだ。
ナクリがこの地モスコビー砂漠を訪れたのは、これらの石像を造り上げ、そして誰にも妨げられる事無く鑑賞したいが為だ。
そして現実に、彼女のそんな願望は見事に叶った。
譜術師の豊満な乳房に顔を埋め、女騎士の張りのある尻を撫で回し、某国の姫君の小さな唇にむしゃぶり付いた。
ただ単に眺めるだけでなく、それら彫像の石で造られた身体を考え得る限りの方法で堪能した訳だ。
更に言えば、相手は石の塊。
これらナクリの貪るような行為をどれだけ受けようと、抵抗などする筈も無い。
当初は半日程度で切り上げる予定だったが、何しろ石像の身体を思う存分貪り放題。
右肩上がりのテンションは収まる所を知らず、結果的に徹夜で石像を遊び倒す事になった。
客観的に見て、ナクリは彼女自身の掲げた目的を、これ以上無い程に成し遂げたと言えよう。

「……おかしい……」
だが、最後の一体。
ナクリのすぐ目の前に在る石像。
他の三体の石像よりも一回り幼い風貌をした、可憐な少女を象った石像。
生身の女性は元より『石像と化した女性』に対して尋常ならざる性的興奮を覚える。それがナクリという存在だ。
動作の一瞬を切り取られたかのように停止した姿、女性本来の柔らかさを線に残したまま硬化した身体……その全てが彼女にとって愛おしい物。
惜しみなく情愛を注ぐべき対象だった。
だがその石像に関しては、どれだけ眺めてもナクリには色欲の類は湧きあがっては来なかった。
それどころか、逆に思考が加速度的に混乱する始末。
「……えーと、何が、一体、どうしてこうなった……?」
尻餅をついた様な、ひどく不格好な体勢の石像だった。
はち切れんばかりに眼を見開き、まるで助けを請うように左手をナクリの方向に向かって伸ばしている。
石像は左手首に小さなポーチを付けていた。
小動物に似た姿の亜種族をあしらった愛らしいデザインのポーチだ。
「このポーチって、やっぱり、その、アレよね……?」
ポーチから何故か目を逸らすように、石像の背後に視線を移す。そこには、やはり石で造られた大剣が置かれていた。
互いの位置がそう離れていない所を見ると、大剣も石像を構成する要素だと考えていいだろう。
そんな石像を見れば見るほどに溢れ出るのは、色欲では無く冷や汗だった。

凪いだ海原を思わせるフラットな造形の胸には、確かに心を惹かれる物はある。
ダイナミックな曲線を描く胸も好物ではあるが、だからと言ってナクリはそればかりを追求する訳ではない。
フラットな胸にはフラットな胸の、ダイナミックな胸にはダイナミックな胸の。
それぞれの胸を石化させた際の醍醐味を、彼女は誰よりも良く知っていた。
目の前にあるようなフラットな胸に関して言えば、石化させたまま激しく揉みしだくのがナクリからすれば『通』らしい。
それもただ無闇矢鱈に揉みしだくのではない。一定の手順がある。
微かな起伏にそっと置いた手をしばらく這わせる事で精神――フェティシズムな欲望を徐々に高揚させて行き、それが頂点にまで達した所で一気に解放。
解き放った想いをぶつける様に全力で、かつ遠慮無用に揉みしだく。
この静から動へと転じる際のカタルシスが堪らないのだ、と。

だが、今回に限ってはそんな気分にはなれなかった。
理由は大きく二つある。
第四の石像は、ナクリにとって余りにも近しい人物が象られた物だからだ。
精巧という言葉ですら不適切に感じられる程の、次元違いの完成度を誇る石像。
既に石から複製した人間の身体と言っても差支えが無い。
それ程までの石像を作り出す方法は、この世界に於いてただ一つ――生きた女性を石化させる以外にはあり得ない。
そして、このモスコビー砂漠において能動的に、あるいは恣意的にそれを行えるのはナクリただ一人だった。
だからこそ、彼女は疑問に思う。
「なんで、カノンノまで石になってるんだっけ……?」
一人疑問を漏らすナクリの声は、彼女が普段アドリビトムで話す時の声色とはまるで違う、どこか間の抜けた声色をしていた。
そんな彼女の問いに答える物は誰もいなかった。
周りには石像しかないのだから当たり前だが。

モスコビー砂漠が現場になるクエストを受諾し、そこら辺を徘徊しているバシリスクと遭遇。
バシリスクを活かさず殺さず、かつ首尾よく誘導し、ナクリに同行していた三人の女性を一人残さず石化してもらう。
その後バシリスクに内心詫びを入れつつ排除。邪魔者が消えた所で石化した三人を存分に堪能し、適当に堪能した所で元の姿に戻す。
そして適当に辻褄を合せ、何事も無かったかのようにアドリビトムに帰還する――当初の計画はこうだった。
対策にも抜かりは無い。
ナクリは既にバシリスク程度では相手にならない剣豪であったし、万が一バシリスクの毒牙を受けた時にも備えて、ストーンチェックも装備した。
当然ストーンチェックの数は、彼女が身に付けた物の一つだけだ。4人分なんて用意する訳がない。
他のメンバーが石化防止対策でもしようものなら目も当てられないからだ。
誰にも怪しまれずにバシリスクを誘導する自信もあった。
だから、計画が上手く進めばナクリは三体の石像を楽しめる事になっていたし、事実として計画は問題なく進み、しかし石像は実際には四体完成しており、最後の一体はカノンノで、ナクリにはその理由が解らなく――
こんな具合で、彼女の思考は延々とループしていた。

「いや……落ち着きなさい、私。冷静に、そう、あくまで冷静に記憶を辿るのよ……」
両目を閉じて一息、呼吸を整える。
誰に言われるでもなく左手を胸に当てた。
これよりナクリがするべき事は、なぜカノンノまでもが石化しているのか。
その瞬間の記憶を、細大漏らさず蘇らせる事にある。
それには何よりも、平常心である事が求められる。心が波立った状態では、正確に記憶を呼び起こすなど到底出来る筈もない。
心を落ち着ける何かが、今のナクリには必要だった。
幸いな事に、それはナクリのすぐ側にある。

「それでは、もう一度拝借……っと」
そういう訳で、ナクリは特にする事が無かった右手を、手近にあった女騎士の像――石化しているクロエの尻に置く事にした。
比較的小ぶりでありながら、それでいて女性らしい丸みを確かに併せ持つ尻。
きゅっと引き締まった形状が堪らない、言わばナクリにとっての理想の尻。
「……うん、良い。落ち着く」
石と化した彼女の身体には、微かに夜の冷気が残っているようで、絶妙な形状と相まって手に心地良い感覚を伝えてくれる。
そこに手を置くだけで、先程までの緊張が緩やかにほぐれて行くようだ。
「何と言うのかしらね、クロエの尻が描くアールが手にフィットすると言うか……馴染む、実に馴染む」
真に優れた造形美は、ただ見るだけでは真価は決して伝わらない。自らの手で直に触れて堪能すべきだ。
ナクリは一人、心の中で持論を呟いた。

「……でもあれね。冷静に過去を思い出すには、もう少し潤いみたいな物が欲しいかしら」
そう呟くと、ナクリは右手を尻に置いたまま、クロエの顔をまじまじと眺めてみる。
「ふむ……これは」
手負いのバシリスクに止めの一撃を与えようと、剣を振り上げた姿のまま石と化しているクロエ。
自然とその表情は険しく、そして凛とした物になる。
「いや本当、良い表情見せてくれるわよねぇ……」
程度の違いこそあれ、苦痛と恐怖に表情を曇らせて石像になったティアとエステルを見ているだけに、クロエは絶妙なアクセントになっていた。
石像が一様に似た表情を浮かべているのも統一感が感じられて良いのだが、こういう変化があるとやはり見た目的にも楽しい。

――お前は何処を触っているんだ!? 即刻この手を離さないかッ!
「……普通なら、こんな感じの事を言いたくなるんでしょうねぇ、クロエぐらいになると」
石となっても鋭い眼光を感じさせる精悍な表情。
尻を揉みながらそれを眺めていると、まるでクロエにお叱りを受けているような気分が楽しめる。
身持ちの硬いクロエの事だ。きっと火が点いたように顔を赤らめながら、激しくこちらを怒鳴りつけてくるに違いない。
いかにも騎士らしい毅然とした立ち居振る舞いと、ウブな少女その物なリアクション。
この解りやすいまでのギャップがクロエの魅力なのだと、ナクリは常日頃から思う。

だが石化している以上、彼女は何のリアクションも返す事が出来ない。
鋭い眼光を残す瞳は確かに凄みやら気迫やらを感じさせる物ではあるが、その視線は今や何処に向けられている物でも無い。
虚空を見据えたまま、ただ尻を揉まれるに任せるだけ。されるがままだ。
「全くもってナイス無反応。この基本を忘れちゃいけないわよね、本当に」
石化した女性を鑑賞する上でのナクリ的なツボ。
それを再認識するという作業は、少なからず彼女の心を落ち着けたようだ。
「……明鏡止水の心境って言うのかしらね、これ」
悟った様な事を言ってみたりする。
取りあえずの所は、そんなレベルまで落ち着いたらしい。

何度か尻の上で手を滑らせている内に、ナクリはふと何かに気付いた。
「……尻だ」
そう、尻なのだ。
あの時――記憶が混乱する前も、自分はこうして石化したクロエの尻を弄っていた。
どれだけ頭が混乱しようとも、身体はその時の事を克明に覚えている。
記憶を辿るべく心を落ち着かせようとしていた訳だが、実を言えば選択肢は他にも有った。
混乱の元になったカノンノの像は除外するとしても、ティアとエステルの両名も石像と化してすぐ近くに佇んでいる。
心を落ち着かせるだけならば、その二人の石像を弄っていても良かった。だが、それでは記憶を辿るには至らない。
ナクリがクロエを選んだのは、恐らく偶然ではない。
彼女は本能的にクロエを――もとい、クロエの尻を求めたのだ。

「いや……待て待て待て」
記憶の糸口は掴めた。だが、何かが少し違う。
確かにあの時もクロエの尻は間近にあった。それは確かだが、どうも違和感を覚えてしまうのだ。
「違う。私とクロエのポジション、位置関係……そこが違うんだわ」
カノンノが石化した瞬間を思い出す為の最後の一手。
それが当時のナクリとクロエの位置関係――有体に言えば、クロエをどういう形で弄っていたかを思い出す。
そこさえ再現できれば、間違いなく当時の事を思い出せる。
そう、ナクリは確信した。

人差し指で突っついてみる。
「違う。これじゃ子供のお遊びじゃないの。クロエみたいな上玉を前に、この私がそんなので満足するなんてあり得ない。生ぬる過ぎ」
尻を軽くノックしてみた。小気味の良い音が砂漠に響く。
「これも違う。まだ子供のお遊びの域を脱し切れてない。こういうのは最初の2分間で済ませておくべき。夜まで延々と続ける事じゃない」
今度はペチペチと、尻を平手で叩いてみた。
「……何それ、スパンキング?私の趣味じゃないわよ……却下」
しばらくの間クロエの尻を一通り手で弄ってみたが、どれもピンと来る物ではなかった。
――やはり、思い違いがあったのだろうか。
弄っていたのは尻ではなかったのか。それともクロエ以外の誰かを弄っていたのか……?
「いや、あの時目の前にいたのはクロエに間違い無い。ディセンダーである私が、他ならぬ私自身を信じられなくてどうするっての……!」
変な所でディセンダーとしての矜持を思い出し、ふと頭をよぎった疑問を振り払う。
そもそも手当たり次第に石像を弄った所で何かが変わるとは思えない。ここはクロエの像に絞って考えるべきだろう。
「うーん……だとすると……こうか、こうなのかッ?」
それならばと、ナクリは頬をクロエの尻に密着させた。
その姿勢を維持したまま、身体をゆっくりと上下に往復させてクロエの尻の上で頬を滑らせる。
つまり、尻に頬擦りする体勢に持ち込んだ。

――電流が走った。
「……ッ!?」
カノンノの石化した姿を見た事による混乱。クロエの身体を弄る事で湧きあがる色欲。
それらが混じり合い程好く思考がカオスな状態になっていたナクリの脳内に、強烈な何かが駆け巡った。
視覚、聴覚を始めとした五感が生み出すイメージの奔流。爆発的な速度で組み上げられる記憶の塊――
「これよ、この感覚に間違い無いわ……!」
カノンノが石像と化してしまう、ほんの直前まで味わっていた感覚は。
更に克明に記憶を蘇らせようと、ナクリは頬をクロエの尻に殊更に強く押し付けた。
「……そうよ、思い出して来たわ。あの時も私はこうして……」
頬をクロエの尻に押し当てたまま、ナクリは静かに目を閉じる。
あの時と言うのは昨夜の事。
そう、星が普段よりもずっとはっきり見えた夜の事――
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  2. 創作
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