Perspective

石化・凍結などの所謂『固め系』の話題について、アレコレ呟きながらじわりじわりと更新されるブログです。脱不定期更新を目指してSSにも現在挑戦中。

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ラディカル・ナイト・プログラム(1)【Fate/Extra-CCC二次創作】


年始から随分と長い間更新をお休みさせて頂いていましたが、私生活が落ち着いた合間の時間で更新に取り掛かる事に致しますね。
久しぶりとなった今回の更新は二次創作。この春発売された『Fate/Extra-CCC』で石化ネタです。
実の所こういうノリのSSを書くのは初めてなのですが、気軽に書けるという点ではリハビリにも丁度良かったんじゃないかと思います(笑)

それでは宜しければ、追記よりご覧くださいませ。


規則正しいコール音が聞こえる。古びた窓からは真赤な夕陽が射し込んでいる。
時間の概念が存在しないこの月の裏側では、これが『目覚めの朝』の光景だ。
そしてコールの発信元は一つしかない。生徒会だ。
発信元が一つしかないように、考えられる要件もただ一つ。
今後の行動方針。具体的に言えばサクラ迷宮脱出に関するミーティングの招集だろう。
迷宮攻略の実働部隊としては必ず顔を出しておかねばならない。

だが、そうと分かっていながらも今の私――宮之阪香里は、生徒会からのコールに応対する気にはなれなかった。
確かにサクラ迷宮は攻略しなければならない。
それは聖杯戦争復帰の為の急務であり、共通の目的で結束した生徒会のメンバーも実際信用している。
だが、それを達成するにはサーヴァントの助力が絶対に不可欠となる。
サクラ迷宮を徘徊する敵性プログラムの前には、魔術師でしかない私は余りにも無力だからだ。
で、その私が頼るべきサーヴァントがセイバーな訳なのだが……もう一度ベッドの上の彼女を見た。

「…………」
ベッドにはセイバーが仰向けの姿勢で横たっている。動かない。
眠っているのかと言われれば、それは否だ。
セイバーの眼は瞬き一つしないまま大きく見開かれている。
如何に英霊と言えど、目を見開いたまま眠るというスキルを保有する人物を私は寡聞にして知らない。
では逆に、セイバーは目覚めているのかと言われれば、それもまた否だ。
彼女は私の体感時間でおよそ1時間前と全く同じ体勢のまま、無言で天井を見上げている。
私の顔を見る度に、尊大かつ従順な態度で甘え掛かってくるのがセイバーという少女だ。
彼女が目覚めているのなら、このマイルームで何のリアクションも示さない等という事は絶対に有り得ない。
それはつまり彼女が……ええい、まどろっこしい。
率直に言おう。セイバーは石化している。
ノスタルジックな木造校舎の一室で横たわる、ローマ彫刻めいた一体の石像。それが今の彼女だ。
色褪せた天井を見上げたまま、石像と化したセイバーはピクリとも動かない。
亜麻色の髪も、精悍な顔立ちも、ちんまい身体を包んだ花嫁衣裳めいたライダースーツも。
私の知るセイバーの全てが石像に変わり果てていた。

ベッドの横に立つ。
夕陽の中に於いて尚の事に際立つ純白の石像と化したセイバーを俯瞰する。
力の限りに見開かれた両目。息を飲むかのように開かれた口。
彼女の表情には隠しようの無い驚愕が貼り付いていた。
右手は高々と真上に掲げられている一方、左腕はおもむろに前に伸ばされている。
僅かに捻りが見られる上半身は、まるで何かから身を躱そうとしているかのようだった。
こうして全身で驚愕を表現するあたり、実に感情表現が豊かな彼女らしい。
我ながら、変な所で感心する。
それはさて置きだ。頭の天辺から爪先まで、しっとりと濡れたような光沢で包まれた彼女の姿は多分に官能的である。
色彩が統一された事により、ただでさえピッチリ気味の衣装に浮かぶボディラインがより明確に目に映る。
ぷっくりと愛らしく膨らんだバスト、自然な流れでくびれたウエスト。
ーー嗚呼、何と理想的なトランジスタグラマーか。同性と言えどこうも激しく魅了してくるとは、流石英霊は格が違ったという所か。
もう一つ深く考えてみる。
石と化しているという事は、すなわち一切の身動きができないという事でもある。
今なら思うが儘にこの身体を堪能する事が出来るのだ。
この凛々しくも愛らしい古代の少女を、現代に生きる私が、この手で。

ごくり。唾を飲み込んだ音で我に返る。
知らず知らずの内にセイバーに手を伸ばしていた事に気付いた。
ああ、いかんいかん。危うくセイバーの上に圧し掛かる所だった。
今のセイバーは石像だ。石像相手に理性のタガを外して何とするか。
冷静さを取り戻すと、今度は虚しさがやって来た。
――おお……奏者よ。遂にその気になってくれたのだな!?余は嬉しいッ!
これが普段通りならば、セイバーは寝転がった姿勢からでも極度に興奮した私を視界に収めたに違いない。
そして目を輝かせて、丁度こんな風にストレートに喜びを口にするはずだ。
記憶は完全に戻っていないが、私とセイバーとの関係はこれ程までに親密な物だったと断言できる。
それが石と化した今では全くのノーリアクション。これは流石に寂しい。
私はマスターとして、いや、宮之阪香里として可及的速やかに彼女を元の姿に戻してあげねばならない。
かと言って、生徒会に余計な厄介事を持ち込むのも正直気が引けた。

という訳で、非常に困りました。
ベッドに転がるセイバーの石化した姿を見て、今一度思考を巡らせる。
そもそも、どうしてこうなった?
原因を辿れば解決法のヒントぐらいは見つかるかも知れない。
不本意ではあるが、記憶を体感時間にして6時間程前に遡らせてみる事にする――

 
砂嵐めいた画像と耳障りなノイズが、突然私の視覚と聴覚を支配した。
数秒後に聞こえてくる21世紀初頭のPCを髣髴とさせる軽妙な起動音。
間違いない。これは既にお約束と化した超不条理視界ジャック系バラエティ番組の開始の合図だ。
――いや、しかしだ。
おかしい。この私、宮之阪香里は既に眠りに就いてるのではなかったのか。
如何にこの番組のディレクターが悪趣味で無遠慮なキャラクターだったとしても、果たして睡眠中の感覚まで干渉できる物だろうか?
私がそんな疑問を抱くと同時に、視界がロゴの表示された画面からTV局のスタジオを思わせる場所に切り替わる。
スタジオと言ってもワイヤーフレームで構成された電脳空間に、一目で書き割りと解る背景を置いただけのお粗末な物だ。
20世紀の深夜プログラムですら、これよりはもう少しマシなセットを組んでいただろう。
スタジオに相応しい、やはり安っぽい歓声が挿入されると、画面下から少女が突如ニュッと現れた。
透き通るような髪。整った顔立ちには挑発的な、それでいて自信に満ちた笑みを浮かべている。
聖杯戦争参加者の健康管理用AI――間桐桜と酷似した姿を持ちながら、その身体を漆黒の装束で包んだ少女。
月の裏側の支配者にして、聖杯戦争を狂わせた元凶。彼女の名は――
「複雑に入り組んだ聖杯戦争に鋭いドスを入れ、マスターおよびサーヴァントを無慈悲に分解するBBチャンネル!私が総合司会進行役の、ご存じBBちゃんです!」
……わざわざ私が紹介するまでもなかった。
画面下から唐突に現れた黒衣の少女――BB。
彼女は教鞭を画面手前――感覚的に言えば、私の目の前にビシッと突き立てて決めポーズを取った。
有体に言えば、心地良い程のドヤ顔だ。
……ああ、はいはい。またこの時間が来てしまったか。
直接的に手出しができないとは言え、彼女がこの月の裏側の支配者なのは事実。
BBが強引に視界にねじ込んだこのバラエティもどきに対し、私達には目を背ける事も耳を塞ぐ事も認められないのだ。
本人の気が済むまで無軌道トークをさせてやる以外にする事は無い。
「しかしまあ、なんですねぇ。あれほど無理だと言ってあげたのに、結局サクラ迷宮を一応は踏破しちゃうんですから、センパイも無能なりにやればできる子って事が証明されてしまったわけですが」

確かにそうだ。私とセイバーは一度はサクラ迷宮の果てまで辿り着いた。
もっとも、そのまま都合よく脱出を果たせるはずもなく、こうして私は旧校舎に戻りマイルームで就寝しているという訳だ。
そうだ。今の私は既に眠りの中にいたのだった。
するとこれはアレか、夢か。そうか、なるほど、分かった。夢なのだ。
きっとそうに違いない。いや、何が何でもそういう事にしてやる。
何しろ私はサーヴァント戦にも決着を付けたばかり。
心身ともに疲労が蓄積すれば、こんなふざけた悪夢を見るのも頷ける。
「実際問題、今のご時世に反してゴリ押しをしちゃった事をどうお考えですか?セ・ン・パ・イ?」
BBがカメラに接近しつつ私に語り掛けて来た。
おお……何たるインタラクティブな夢だろうか。
裏側とは言えそこはムーンセル。見る夢ですらワンランク上の演出が用意されているらしい。
……いやいやいや。ここは感心する場面ではない。
何もそんなウザい所まで再現する事も無いだろう。
夢の中のBBに応対するだけ脳内リソースの虚しい浪費だ。
なので、私はそのまま眠り続ける事にした。
視界の中のBBが露骨に眉を潜めて不快を表現するが、そんな事は知った事か。
「ハァ!?ここに来てシカト体勢に突入ですかー?イジられキャラですらなくなったセンパイなんて、ぶっちゃけ無価値どころか生ける不良債権ですよ?センパイご自身に与えられたキャクターという物を、もうちょっと理解しておいてくださーい」
おお……何たる再現性か。BBのウザさが見事なまでに表現されている。
これではまるで、本人が目の前にいるかのようではないか……いやいやいや、これはまずい。
夢のペースに飲み込まれる所だった。冷静にまた眠りに就こう。
視点こそ固定されているが、意識だけはBBから離す様にした。
いわゆる精神的シカトである。
「……むむ。ま、まあ別に良いです。今回はセンパイの意図なんて無視した垂れ流し企画ですから、このまま何事もなかったように進行しちゃいます」
胸を反らしてわざとらしく唇を尖らせるBB。
何が今回は、だ。いつも好き勝手にやって来てただろうに。
こういう当たり前の事をわざわざ口に出す辺り、いかにも夢らしい内容だ。
こちらも適当に流し見する事にしよう。少しではあるが、平常心を持つ事は出来そうだ。

「……えー、気を取り直しまして。今回のBBチャンネルは言わば特別編。まだ始まって数回しかしてない気もしますけど、わたしが特別と言えば特別なんです」
そうか。特別なのか。
特別。スペシャル。プレミアム。確かに悪くない響きである。
まあ夢にまで見るのは、ある意味特別と言っていいだろう。
「センパイはランサーを打倒し、一度はサクラ迷宮を踏破した訳です。結局ムダに終わりましたけどねー」
――ランサー。
BBからその名前を聞くと、少しばかり身体が強張った。
確かにランサーは油断ならない強敵だった。
宝具とか宝具とか宝具とか、確かに妙な所こそ多々あったが、あのセイバーと互角以上に渡り合ったのだ。
彼女は狂人であると同時に、疑いようの無く一流の英霊だった。
今でも目を閉じれば――いや、寝てるから既に閉じているのか。
とにかく彼女との数度に渡る激戦は、一つ一つの場面を鮮明に思い出せる。
私のマスターとしての高揚感まで反映されるとは、夢はここまで進化したか。
「そんな訳で、今回は第一局面の終了を記念しまして、センパイを主に精神的にお祝いしちゃいます!物理的なお祝いは負け犬同士で勝手にしといてくださいね?」
精神的大いに結構。
と言うか物理的に何かを送られても困る。
「はい、それではゲストこと今回のネタ担当にご登場お願いします!センパイの精神的ダメージを思いっきり癒しちゃってくださいね!」
BBが教鞭をハートの形を描くように振るう。ボワワーンと漫画の様なSEを上げ、スタジオが白煙に包まれた。

「え……?」
「ちょっとちょっとちょっと何よコレ!?私はアイドルであってリアクション芸人枠じゃないのよ!?何で縛り上げられてるのか納得の行く説明をなさいッ!」
――なッ!?
二つの聞き覚えのある声が白煙の中から聞こえて来る。少女の声だ。
それぞれ声の調子は異なるが、互いに戸惑っている事はよく解った。
前者はどこかで聞いた事がある程度の印象だったが、問題は後者だ。
美しさと獰猛さを兼ね備えたソプラノボイス。私はこの声を何度となく聞いてきた。それも死地でだ。
私が混乱している間にも白煙はスタジオに拡散し、声の主の姿が徐々に明らかになって行く。
――バカな。
煙が拡散しきると同時に、夢と分かっていながらも驚きで声が漏れそうになる。
スタジオには二人の少女が現れていた。察しの通り、どちらも見覚えのある顔だった。
一人はスタジオの床にぺたんと座り込み、もう一人はロープで縛り上げられた上に無様にも天井から吊り下げられている。
「あ、あれ……ここは……どこ?」
「そりゃ確かに復活希望のリクエストは送ったわよ?でも宙吊りってオーダーは書いた覚えは無くってよ!?」
一人は旧校舎の2階、階段近くを自らの領域としていた上級AI、清掃委員の少女だ。
2030年代では既に古典の域に到達した黒髪のお下げが印象に残る。
本来ならば理知的な顔立ちの少女だが、今は表情にありありと戸惑いの色を浮かばせていた。

そしてもう一人――問題なのは宙吊りの少女。
血で染め上げられたかのような赤いロングヘア。
至る所にフリルをあしらい胸元を大胆に露出したコケティッシュな衣装。
本人の胸は非常に平坦とは言え、そのインパクトは相当な物がある。
いや、胸の話は今はどうでもいい。それよりも目を引く要素が彼女には多すぎる。
先端で二股に分かれた尻尾、鋭利に伸びた紅い爪、そして頭に抱く禍々しい一対の角……
――間違いない。あれは……彼女はランサーだ。
卓越した槍の使い手であると同時に、拷問を至上の娯楽とする残虐性の持ち主。
性格の不一致。ただそれだけの理由でマスターですら躊躇なく殺害する狂えるサーヴァント。
だが、彼女はセイバーに敗れた事で、この月の裏側からも完全に消滅したはずだ。
――私は絶対に復活する。そしてお前を地獄に引きずり込む。
それが、彼女が消滅間際に投げ掛けた呪詛。彼女はその言葉通りに蘇ったというのか!?
消滅してから私が眠りに就く、こんな僅かな時間で――!?

「はいはーい。期待を決して裏切らないテンプレリアクション、ゴチになりますと社交辞令でご挨拶しておきますね」
BBはスタジオに現れた二人に対し、慇懃無礼に頭を下げて挨拶をした。
「え!?BB……さん?」
「マネージャー!?え、これってひょっとしてアンタの趣味だったの!?」
「という訳ではいっ!ゲストが出揃った所で、センパイに今回のBBチャンネルの趣旨をご説明しますね」
二人がそれぞれ驚きの声を上げるが、BBはまるで聞く耳を持つ様子は無い。
教鞭を手の上でペシペシと弾ませながら、スタジオを軽妙な足取りで歩く。
「ご覧の通り、今回のBBチャンネルにはセンパイもご存じの負け犬のお二方を特別ゲストとしてお招きしました。センパイを肉体的または精神的に傷つけた、そこそこのインパクトを誇るこのお二人。物覚えの悪いセンパイでも流石に忘れてなんかいないですよね?」
「負け犬と呼ばわりは甘んじて受け入れるにしても、あれだけ出番があってインパクトそこそこってどんな解釈よ!?」
「これまではセンパイを弄ってきましたけれど、今回は最初も言いました通り特別編です。サクラ迷宮の一応の踏破を祝しまして、この二人から受けたセンパイの並々ならぬフラストレーションをここで解消して差し上げようという訳です。アメとムチのアメの方ですね」
「シカト!?今私思いっきりシカトされてるのよね!?」
「という訳でこの二人が必死になって走るだけという、センパ……もといバカでも解るシンプルの極致を行くこの企画!それでは改めてタイトルコールと行きましょう!!」
ランサーの騒ぎ声をことごとく無視し、BBは両手を上げて高らかに企画名を歌い上げた。
と言うかちょっと待て。言い直した方が酷いとはどういう事だ。
「全・力・鯖!」
スタジオからは万雷の拍手と歓声が轟き渡った。一方で私は脱力した。
21世紀初頭のテレビプログラムのオマージュ……いや露骨なパクリだ。捻りもクソもあったもんじゃない。
勿体ぶって何を言い出すかと思えばこれか。そろそろツッコむべきではなかろうか?
「……と、タイトルコールをしたところで一旦CMです。お手洗いは今のうちに済ませておいて下さいね?」

……新感覚の夢も極まった感がある。
CMの時間をトイレタイムと言ってしまう司会者も正直どうかと思うが、まあ良い。
私もCMが明けるのをしばし待つ事にしよう。

【続く】
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  1. 2013/05/06(月) 22:45:54|
  2. 創作
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Author:みつくりざめ
石化に惹かれて早数年。
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